宮永咲のプラマイゼロに関する仮説と次回の予想

今回の記事は一応前回の続き、咲-Saki- 第101局「暗雲」感想その2になりますが、前回の内容は全く関係ない独立した記事になります。
相変わらず、無駄に長いのでメンドい方は真ん中あたりだけ読んで下さい


控え室に戻ってきた咲さん。姉帯さんに頼まれた色紙を和に渡します。咲さんが下の名前で和を呼んだのは、に本編では初めてですね。


どうやら部長は咲さんが2連続プラマイゼロをやって1位通過した事に気付いていたみたいですね。しかし、ここからの咲さんの言葉は流石に予想外だったようです。その発言をまとめると

  1. 最初は1000点の持ち点からプラマイゼロになるように打ってみたが、3人が予想以上に強かったので結局一番慣れてる本来のプラマイゼロの打ち方にした
  2. 最後に残ったのが自分にとって一番強い相手である末原先輩であり、今度打ったら多分勝つ事は出来ない


この2つが主な要点ですね。要点2の特に後半部分は、咲さんの大変にあざとい切ない表情も相まって、大きな議論を呼ぶ事になりました。
まずは、2番目の点について考えてみようと思います。

  • 末原先輩は一番強い相手?

この点に関しては様々な意見があるようですが、大将戦の中で、咲さんの内面描写がほとんど描かれなかったのでその真意を探るのは相当難しい気がします。

ただ、咲さんが末原先輩のようなタイプの方が苦手と思わせる描写もなくはないです。


長野県大会でかじゅが咲の嶺上開花を搶槓で防いだシーンは今の咲に対しても間違いなく有効でしょうし、末原先輩も意識してた訳ではないでしょうがポンする事で咲さんがカンする機会を潰した後に、早上がりで1000点の持ち点からプラマイゼロを目指していた咲さんの構想をおじゃんにしてます。

さらに、2回戦の最後に咲さんが豹変したのは末原先輩が牌を切った直後でしたし、この時咲さんは自分のプラマイゼロの道筋だけじゃなく、末原先輩が今の場の状況を利用して倍満をあがる事を見抜いていたのかもしれないですね。
単に能力同士の争いなら咲さんに勝てる人はそういないはずです。現に咲さんは霞さんの絶一門と姉帯さんの先負を同時に受け切った訳ですし。むしろ能力者でもないのに能力や場の変化に素早く対応する末原先輩の方が確かに咲さんにとっては確かに脅威かもしれません。まぁ、それでも次は勝てないかもしれないという発言は最初読んだ時にはかなりびっくりしましたが。

  • 咲さんがプラマイゼロを打った本当の理由?

次に要点の1つ目について。こちらが今回の記事のメインテーマになります。僕は前回まで咲さんが大将戦でプラマイゼロをしたのは、それが準決勝に勝ち抜く為の自分にとって一番確実な方法だからだと思ってました。しかし、咲さんによれば最初は1000点スタートのつもりで打っていたけど相手が手強かったので途中から普通のプラマイゼロに切り替えたらしいです。
なんで最初は1000点スタートのつもりで打ったのか―?も確かに気になる所なんですが、ここで重要なのは、形はどうあれ咲さんは最初からプラマイゼロを狙っていたという点です。

この点もまた様々な議論を呼んだところなんですが、そこは置いといてとりあえずこれまでの咲さんのプラマイゼロについて振り返ってみたいと思います。

まずは子供の頃の咲さん。そもそもプラマイゼロの打ち方は家族麻雀で負けてお年玉をとられないよう、勝って怒られる事の無いように身につけたものでした。和と出会い麻雀を打つ楽しさを知って清澄の麻雀部に入部するまで、彼女の打ち方は変わる事がありませんでした。

次は本編の第1局「対立」において。勝つ事が出来ずにふてくされるタコスを気づかって咲さんは国士無双をあがらずにプラマイゼロにします。この時は和が彼女の打ち方に激怒、和の思いが通じて二人は全国を目指す為に共に全力を尽くす事を誓いました。

場面は飛んで、アニメオリジナルの個人戦2日目。この時咲さんがプラマイゼロをしたのは3年生の部長に個人戦でも全国へ行ってもらいたい、という思いからでした。この時も和の叱咤激励によってその後の咲さんは全力で個人戦に臨み、見事代表の座を勝ち取りました。

最後に4校代表合宿で、マホが自分の得意技である嶺上開花でツモった時。ここはちょっと特殊で咲の得点はマンガには出てきませんが、他の3人の点数から+10、−10、±0となっている事がわかります。恐らく最初は普通に麻雀を打っていたけれど、マホにショックを受けて最終的にプラマイゼロになるような打ち方をしたのだと思われます。

こうやって咲さんがプラマイゼロをやった状況を振り返ってみると、常に誰かの事を気づかったり(親やタコスや部長)恐れたり(マホ)している時に発動しているものである事がわかります。
さて、以上の事を踏まえた上で、ここからはかなり飛躍した仮説になる事をご了承ください。
今回咲さんがプラマイゼロの打ち方をしたのは、勝利を確実にするためだとか一番やりやすい方法だとかましてや舐めプとかそういうのではなくて、咲さんは試合に臨む前から麻雀以外の何か非常に気にかかっている事があって、そのせいでプラマイゼロの打ち方しか出来なかった―こう考える事は出来ないでしょうか?

こう考えてみると幾つかの不思議な出来事に納得いく説明が出来るような気がします。

まず1つ目。咲さんが最初は普通に勝ちにいって途中からプラマイゼロを目指した訳ではなく、わざわざ1000点スタートからのプラマイゼロを狙った事。
2つ目。長野県大会決勝で衣に勝利した時は普通の打ち方だったのに、なぜ今回はプラマイゼロを狙ったのか。姉帯さんも霞さんも相当強い相手ですが、正直なところあの時の衣の方がより強敵だったはずで、普段の咲さんなら普通に勝てた様な気がします。
3つ目。咲さんの「今度打ったら勝てません」発言。これは、今の自分のプラマイゼロしか出来ないやり方では、相手がそれに向けた対策をしてくる準決勝では勝利できない―と解釈する事は出来ないでしょうか?
4つ目。靴を脱ぎ忘れていたのは単なる度忘れではなく、気にかかっている事の為に頭がそこまで回らなかったから。
そして、最後に部長が今の咲さんの状態を「これは少しやっかいそうねー…」と評した理由です。これは今までと違い、今回の咲さんのプラマイゼロの理由は麻雀を勝つ喜びを教えるとか、あるいは和を咲にけしかけるとか、そういった部長が簡単に出来る事ではない、もっと難しい問題であると見抜いていたからだと考えられます。つまり、勝つためのプラマイゼロだから逆に厄介って事ですね。


咲さんの能力のもう一つ、嶺上開花に関してはまだ仲が良かった頃の姉との思い出であり、自分が好きだから使っているイメージがありますが、プラマイゼロはそれとは逆の家族との嫌な思い出の象徴です。なので、2回戦で咲さんがプラマイゼロをしたのは自分から選んだというよりも、そう強制された―つまり呪いの様なものなんじゃないかとそう思ったのが今回の仮説のきっかけです・・・要するに、以前の天江衣ですね。麻雀を打つんじゃなくて、打たされていると藤田プロが評したあの状態に今の咲もなっているんじゃないかなぁ〜と思っています。リンシャンマシーンならぬプラマイゼロマシーン咲さんとでも呼ぶべきでしょうか。


まぁ、これまでの仮説が正しいかどうかはともかく、どうも今の咲さんが本調子ではない事は間違いない事と思われます。なら、咲さんの不調の原因はなんなのか?それはもちろん、東京に来て以降、姉である照の事を考えて神経質になっているからに間違いないと思います(そしてこれこそが仮説の中で咲が非常に気にかけている事の正体でもあります)
これは本編だけではなく、阿知賀編においても咲の登場シーンで度々描かれていましたし、なによりファンブックにそう明言されてます。*1
この辺りの事については、以前の記事でも触れたので、よろしかったらご覧ください。

そして、そんな咲さんを見て何やら思案顔の部長。頭の中でまた色々考えてそうですね。この辺りは次回以降明らかになるのでしょうね。

  • 次回の予想について

ここから先はおまけみたいなものなんですが、少し前にアニメとファンブックから、のどっち達が何故会場に向かったのか理由を推察する記事を書きました。
そこでの予想は「キャプテンが阿知賀と対局をした事をぽろっと上埜さんにしゃべってしまい、そこで部長が一計を案じて元々会場に行くつもりのなかった和を咲と優希と一緒に強引に会場に向かわせた」というものだったんですが、色々な方からコメントを頂いたのもあり、せっかくなので新たに判明した事実からその理由についてなどをまた考えてみようと思います。

まずは、雑誌に掲載された次回予告によると「インターハイ会場へと向う咲たち…。しかし、そこで待ち受けるものは―…。」とあります。

まぁ、この次回予告ってイマイチ当てにならないらしいんですが、これが正しければ次回は遂に先程の理由や

多分、予告の後半はこの場面を指してると思われるので、ここでのどっち達がなんで振り向いたかが明らかになると思います。

まずはここで3人が振り返った理由なんですが今回まで判明した事から考えると、永水と宮守が一緒に海に行くところに偶然出くわしたというところでしょうか。姉帯さんに和のサインを渡すいいきっかけにもなりますし。

次に、会場に向かった理由について。咲が姉の事で思い悩んでいる事、そしてその事に部長が気付いているような描写がある事から3人が会場に向かったのは部長の差し金、ただしその目的は和よりもむしろ咲と照を会わせる事だった可能性が出てきましたね。(この可能性については先程の記事で同じ考察のコメントも頂きました)

ここで、部長が単に咲一人では会場に行かないだろうから和と優希を一緒にやったのか、咲が道に迷わないよう案内役としてなのか、阿知賀や新道寺の事も把握していて3人を会場に向かわせたのかはわかりませんが、今の咲さんの状態を見て部長がそのように仕向けた、というのは充分にありえる話だと思います。

ただ、この場合咲さんは結局会場には入らなかった訳で部長の試みは失敗している事になります。部長がこの可能性を考慮していないはずないと思いますし、何より会場に入ったところで和みたいに照と再会できるとは限らない訳でちょっとこれは気になる所です。あるいは藤田プロに会場内に入れてもらえるように頼んだとかかなぁ・・・。

*1:咲−Saki−阿知賀編オフィシャルファンブック ストーリーダイジェスト第4局 p.46etc.