神境についての若干の考察

お久しぶりです。同人誌も書き終えて宮守については調べ物もひと段落したので、永水についてそろそろ本格的に調べないとなーと思ってる今日この頃。ただ、ここ最近は中々まとまった時間がとれなくて、下手したらこのまま何か月もブログを放置してしまいそうなので、あまり大した事ではないですが思い付いた事をいくつかメモ代わりに残しておこうかと思います。

  • 「つき」の話

何か幸運な出来事があった時って「今日はついてる」って言ったり、それこそ麻雀のような時として運が勝敗を左右するゲームでは「ツキが回ってきた」とか「ツキに見放される」とか言うじゃないですか。この場合の「ツキ」というのは漢字では一般的に「付き」と表すらしいですが、それこそ「幸運の神様がついている」とも言ったりするように「憑き」の意味も当然含まれていると思います。咲-Saki-で「憑いている」キャラといえば姫様ですが、カンするとほぼ確実に有効牌がくる咲さんとか毎回のように海底で和了るころたんとか、咲-Saki-のオカルトめいた人たちはみなある意味では「ついている」と言えますよね。

逆にいうと目覚めている時の姫様はそれこそ「神様が憑いてない」訳ですから、運的な意味でも「ついてない」のかなーと思ったり。真鯛さんも書かれてるように目覚めている時の姫様って決して弱い訳ではないらしいのですが、いざという時に「ついてない」(二重の意味で)のが霞さんに「フツウの頑張り屋さん」と言われている所以なのかもしれませんね。

  • 神境について

咲-Saki-を読み直して神境の描写について気になった事が二つほどありました。

一つ目は第95局で登場する霞さんの幼少時の回想シーンの一コマですが、神境にある鳥居にギザギザ模様がついているのが見て取れます。

この模様ははっちゃんの能力発動時の鳥居にもついていますが、これは鋸歯紋と呼ばれる一種の魔除けの模様で悪石島を含むトカラ列島では他にも火の神を祀る為の切り紙などにも使われているようですが、鳥居に鋸歯紋を見る事が出来るのは日本ではトカラのみです。*1なのに、何故神境の鳥居にこの模様がついているのでしょうか?


二つ目はあまり大した事ではないのですが、全国編BD1巻の特典コミックスで霞さんが姫様がいる場所を「神社みたいな所」と表現しています。普通、神社は見ればすぐわかるものだと思うので、わざわざ「みたいな」なんて表現をする必要はないと思うのですが、何かしら普通の神社とは違うと思わせるものがあったのでしょうか?まぁ、これは霧島「神宮」という名前が聞き慣れない言葉だったので、そういった表現をした可能性の方が高いかな―とは思うんですが。
更にはっちゃんの答えは姫様がいる場所には神宮と神境の2つの場所が存在する事がわかります。
ウィキペディアからの引用になりますが、神宮は神社の社号の1つで基本的に特別の由緒を持つ神社が名乗る事を許されるものらしいです。一方で神境は神社の境内という意味と仙人が住む所という二つの意味があります。


これらの事から姫様が住んでいる場所がどんな所か少しだけ考えてみました。「神宮」は多分そのまんま霧島神宮の事ですよね。これまで背景にも霧島神宮は何度も登場してますし、これは今の所多分間違いないかと。そして「神境」は恐らく一般の人には知られていない霧島神宮のある霧島連峰の山奥にある建物…という事になるんでしょうか?はっちゃんは神境の事を「山の中にある隠れ里みたいな所」と表現してましたね。*2

ただし、アニメ全国編とBDの特典コミックスに登場した姫様たちが普段住んでいると思われるこの建物は霧島神宮にある新神楽殿がモデルとなっています。まぁ、これはあくまで建物が同じというだけで背景は全く違いますし、やはり神境が神宮とは別の場所である事は間違いないでしょうが。*3

そして、先程も書いたようにこの神境の鳥居には霧島神宮には見られない鋸歯紋の模様を見る事が出来ます。更に神境には屋久島や悪石島や喜界島や奄美大島などに住む分家の女の子たちの中から選りすぐりの子を本家が呼び寄せる…という仕組みになっているようです。

とするとですね、これらの事から考えるに、あまり上手い表現が出来ないんですけど神境には本土とは違う南西諸島の風習というか要素というかそういったものが意識的に取り入れられているのではないかという事になりますよね。つまり、分家の人々が各地の島々に点々と住んでいるのは実はそういった仕組みを本家の人達が中心となって造り上げたんじゃないかなーという気がするんですよね。

何故、本家の人たちがそうしたのか理由はよくわからないんですが、ただ本来は神道とは何の関係もないはっちゃんのボゼがそのまま使われている事なんかを見ると、日本の古代のシャーマニズム文化が色濃く残るとされるトカラとかの文化を取り入れる事で巫女の力を維持したかったのかなーとかそういう妄想が働いたりします。この辺りのシャーマニズムに関する本も少し読んでみたんですが、あまりよく理解出来なくて曖昧模糊とした表現で申し訳ないんですが…。

巫女の世界 (日本民俗文化資料集成)

巫女の世界 (日本民俗文化資料集成)

当たり前ですけど、現代の神社の巫女さんって神様を憑依させたりとかしないじゃないですか。ただ、沖縄のノロとかトカラのネーシとか南西諸島にはそういったシャーマンが割と最近まで残っていたらしいんですよね。(現在においてもいるのかは知りませんが)その辺りが関係してるんじゃないかなーと思ったり思わなかったり。

ちなみに上の資料を読んでいて悪石島にかつて住んでいた権之守という有名なシャーマン(男性ですが)の例が登場しています。彼の一族はその後四代に渡ってシャーマンになったそう*4ですが、この権之守さんは霧島修験道を修行した人物だそうです。ひょっとしたらですけど、はっちゃんが悪石島出身というのはここから採用されたのかもしれないですねー。

*1:参考:徒然なるままに 咲-Saki- 探索編 [悪石島訪問]

*2:ちなみに言うまでもない事ですが、最も有名な隠れ里の1つがマヨヒガです。

*3:参考:クモノカケラ 「咲-Saki-」舞台探訪 鹿児島県代表・永水女子編

*4:悪石島などのシャーマンは世襲ではないですが、巫病が発生しやすい血筋はあるみたいです