Ever 17 「いいからやれ」という言葉が一番しっくり来る作品

いわゆるノベルゲームは基本的に攻略情報を見まくってクリアする邪道人間です。

本当にシナリオが面白いゲームは、例え攻略情報を見ているうちに、ネタバレを知ってしまったとしてもそれを凌駕するほどの面白さがなければならない!と勝手に思ってるからであり、だから推理小説やミステリーとかで話の途中でいきなり百ページくらいすっ飛ばして解決編を見てしまったり、まあ、つまり単にクリアに時間をかけるのが面倒なだけで我慢が効かない性格だったりするわけなんですが。
しかし、それでも世の中には一発芸というか、もうこれが全てというかぜ〜〜〜ったいにネタバレしてはいけない作品もあるわけですよ、やっぱり。随分前にクリアした作品ですが、今振り返ってみて『Ever 17』は正にそういった作品だったな、とつくづく思います。

Ever17 -the out of infinity-(限定版) Premium Edition - PSP

Ever17 -the out of infinity-(限定版) Premium Edition - PSP

宣伝のために、画像はもうすぐ発売されるPSP版で。

とはいってもですね、

まあ、このゲームを初めて知ったのが東浩紀さんの『ゲーム的リアリズムの誕生』だった訳で、この文章中にもう完膚なきまでにネタバレされまくりだった訳だからいたしかない事なんですけどね。という事で、これからこのゲームをやる人はとりあえず東さんの本は読んではいけません。まあ、そんな奇特な人ほっとんどいないとは思うんですけれど。
ちなみに『ひぐらしのなく頃に』をプレイしようか考えている方もこの本は読んじゃダメ。物語の核心に触れすぎです、東先生・・・。

だから他の人と同じように・・・

このゲームに関しては「いいからやれ」としかいえないですね。ゲームのパッケージのストーリー説明から各キャラクターの名前や経歴やなにからなにまでプレイヤーを欺く巧妙な仕組みになっているので、間違いなく予備知識がないほうが楽しめる筈。

ただし、このゲームの面白さを伝えるのを難しいところはただ、核心に全く触れることが出来ない、だけでなく序盤から中盤にかけてか〜なりだれる事を覚悟しなくてはならない、というところにあります。
ぶっちゃけ、日常会話がそれほど上手ではないんですよ、このゲーム。で、一番最後のココ編にたどり着くまでに4人のヒロインルートをクリアしなければならないのですが、同じような場面を何度も何度も見せられる。既読スキップで飛ばしてるはずなのに、前も見たような文章でスキップがとまり、よくよく見直してもほっとんど変わらないじゃん、これ!とうんざりする事山の如し、です。(まあ、そう思った時点で既にこのゲームの罠にはまっているのですが・・・。)
同じループものであっても例えば『CROSS†CHANNEL』の田中ロミオさんなんかは同じ文章でも何度も読ませてしまう面白さがあるのですが、テンポがあまりよくないからなのか、単にシナリオライターが不得手なのか、初見からどうにも文章に気分が乗り切れないことが多かったです。

また、各シナリオもそれ単体ではそれほど素晴らしい出来ではないと思います。つぐみルートは浅川悠さんの演技の素晴らしさとキャラの可愛さもありかなりぐっと来ましたが、他はそれほど・・・。沙羅ルートなんかこれが普通のギャルゲーだったらユーザー激怒間違いなしのオチです(笑)


ただ、個人的な事情も含め、かなりのマイナス部分があったにも関わらず、それでも他人にお勧めしたくなる魔力を間違いなくもったゲームであると思います。プロット以外では先程あげた浅川さんに限らず、声優さんがみんなキャラに合っていてかつ演技が素晴らしい。実は、このゲームを始めた際、先述のネタバレの事はほとんど忘れていたんですが、ある声優さんの熱演で「あれ、これって・・・?」と思ったことから芋づる式にネタバレを思い出してしまったんですよね(苦笑)それだけ演技力に幅がある、という事なんですがその凄さが逆に僕にとっては仇になった形に。

オーソドックスながら、各キャラクターも非常に魅力あふれる存在です。つぐみ、沙羅が特にお気に入り。ココは・・・・あの、米っちょがなければ・・

長々と説明してきたけれど

結局「やれ」という一言に尽きる。と。ああ、なんという無限ループw
このループから抜け出すためには・・・あなた自身がこのゲームをプレイするしかないのでは?

恋愛ゲームセレクション EVER17

恋愛ゲームセレクション EVER17

PS2だと滅茶苦茶安いですよ、このゲーム。