神代小蒔の神降ろしについての考察

「ついてますね」 と言った戒能プロの台詞と第04局で姫様が言った ”ごめんなさい少し寝てました” からの 「つかれてるとたまに」 は恐らく同義。
「憑いてますね」 と 「憑かれてるとたまに」ある種、これこそが真のオカルトw
[44926&45927] TVアニメ 【咲-Saki- 全国編】 第05局 <神鬼>


44926&45927の田中さんのこの指摘、何気なく書かれてますが僕にとっては凄く衝撃的な一文でした。
ここでの姫様のセリフ「つかれてるとたまに」を僕は今まで「疲れてるとたまに」の意味でしか解釈してきませんでした。しかし、もしこの指摘通りに「憑かれてるとたまに」という意味もあるのだとしたら、つまり姫様はこう言ってもいる訳です。神様を降ろしている時でも自分は常に眠っている訳ではない、と。僕はすっかり勘違いしてたんですけど、ひょっとしてみんなこっちの意味で理解してたのかな…?

これまで僕は神様を降ろす為にはまず姫様が眠りにつかなきゃいけない、と思い込んでいたんですがどうやらそうではないようです。とすると、永水の他の娘たちのセリフの2度寝などはどのように解釈するべきなのか悩んだんですが…。これって実は、ここで言っている姫様の「寝る」というのは、身体が眠りにつく事じゃなくて意識が眠りにつく事なのではないか、と思うんですよね。
つまり、神様を降ろすには必ず身体は眠りにつかなきゃいけないんだけど、その時に必ずしも自我も無くしてる訳じゃなくて神様の意識と姫様の意識の2つが身体に宿ってる状態があるんじゃないかと。

こう考えると非常に納得がいくのが全国編のアニメで何度も姫様が「麻雀を打つのが楽しい」と言っている事です。僕は今まで「試合中ほとんど眠ってるのに果たして姫様は本当に楽しいのだろうか…?」と思ってたんですが、そんな事はなかったんですね。
更にいえば前回の戒能プロの考察で戒能プロを姫様の上位互換と書いたんですけど、試合中も姫様の意識があるという事は降ろす神様は選べなくてもある程度神様を自分の意志でコントロール出来るようですから、この認識も多少改める必要があるといえるでしょう。


さて、ここまで考えたところで疑問に感じるのが「じゃあ、姫様はいつから(意識も)眠っていたんだろう?」という事です。彼女は試合前から寝ていたのでしょうか、それとも試合中に寝てしまったのでしょうか?
先程のコマで姫様は「点が減ってる…」とも呟いてますので少なくとも姫様が眠りについたのは東一局で優希がツモる前である事はわかります。ここで2回戦先鋒戦の姫様の表情に注目してみる事にしましょう。

これは東一局で優希がリーチをかけた直後の姫様。わずかながら優希のリーチに反応しているように見えます。しかし…

優希がツモった直後の姫様。優希のトラッシュトークをガン無視です。

東一局二本場に優希がダブリーした直後の姫様。こちらも全くの無反応である事がわかります。

他にもこの辺りの姫様は全く反応を示さずに麻雀を打っています。つまり、姫様が本当の意味で眠ってしまったのってこのわずかな間なんじゃないでしょうか。具体的に言うと

このコマ!ここで姫様の意識は眠りに落ちちゃったんじゃないかと思うんですよ。だからその直前のポンで牌をズラした時は実はまだ姫様の意識はちゃんとあった、こう考えると凄く納得できる気がするんですが…いかがでしょうか?*1


最後にこれまで長い事悩んできた「巫女が鬼になる」という言葉について一つの仮説を思いついたので紹介させていただきます。

今年の初めの記事で僕は永水の鬼の意味について、仙女を名乗ってるんだし道教の観点から何かわからないかなと書いていたんですが、アンリ・マスペロという人が書いた『道教』という本にこのような記述があるのを見つけました。

ついで忘我extasesの段階がくる。それはあるときには、霊が「巫」に乗りうつったときの恍惚状態を意味する世俗的な表現、すなわち「鬼が入る」という言い方で示され、…

これ、まんま「巫女が鬼になった」時の姫様ですよね?*2ここでの「巫」は道教の巫でしょうから厳密には日本の巫女とは別物なんでしょうけど、姫様は六女仙を従えてるんだしこれが正解の可能性は高いんじゃないかな〜と思います。

道教 (平凡社ライブラリー)

道教 (平凡社ライブラリー)

しかし何故、これを原稿を書き上げる前に思いつかなかったのか…。

*1:多分、シロは姫様が本当の意味で眠ってしまった事をなんとなく察知してたからおとなしくて変だな…と感じていたんだと思います。

*2:中国語では鬼は幽霊だとか霊魂とかそういった意味なのでそのまんまですね。