一つになる咲-Saki-と阿知賀の物語、別の道を歩み始める咲と和の物語

あるいは咲-Saki-の第104局[過去]の感想的な何か。
今更ですが、今回の咲-Saki-のラストは中々感慨深いものがありましたね。

遂に和と阿知賀女子の縁が本編でも語られる事となった訳ですから。
もし、阿知賀編というスピンオフが存在しなかったら次回の始まりが

こうなってもおかしくない訳ですよね!
ここ最近の咲-Saki-には阿知賀編のキャラが多数登場してきましたが、今回で完全に咲-Saki-と阿知賀編は一つの物語となったといえるのではないでしょうか。

実際、わたしたちは既に和と穏乃たちの縁を知ってしまっているのでどうしても咲さんの過去だけに目を向けてしまいがちですが、もし阿知賀編を知らなかったとしたらここら辺をどう読んでいただろうか…なんてのは妄想してみると結構楽しいですね。阿知賀で誰が一番強いと思う?とか、憧とタコスってそんなに似てるか?とか、玄ちゃんに関してだけは全くキャラ付けに変化がなさそうだなーとか。

…が、2人の過去が徐々に明らかになっていくのはいいのですが、咲と照、和と穏乃たちの話が続く事にちょっと寂しい思いを抱いている人もいるのではないでしょうか?全国編になってから咲と和のイチャイチャが足りない!―って。


そもそも長野県大会では、咲と和のそれぞれに事情はありましたが、むしろ原村さんと(宮永さんと)一緒に全国に行きたい―という二人の思いが1巻ではより強く描写されていたように思います。

それに、咲がプラマイゼロを思わずやってしまった時、藤田プロに負けて弱気になっていた時、衣に大差をつけられていた時、いずれも咲を前に進ませる力となったのは和の激励があったからこそでした。よく全国編の咲さんは感情を失ったみたいだとネタでよく言われますが、むしろ和の咲に対する感情の方がずっと失われてしまっているような気もします。

例えば、2回戦終了時。とはいってもよく言われるプラマイゼロを試合でやった事についてではなくて

このシーンですね。以前の和だったらもっと怒ってたはずです。「なに弱気になってるんですか!!」なんて言ったりとか。また、全国に来てからイマイチ元気のない咲に対して和が気合を入れるシーンがあってもおかしくない気がしますし。

じゃあ、和は咲に対してもう何とも思っていないかというと多分そんな事はなくて、少し前の話になりますが咲さんがのどっちの事を和ちゃんと呼んでいるシーンがありました。1期のアニメを見ていない方に説明すると、咲と和はお互いの事を名字で呼んでいましたが、長野県大会後にお互いの事を名前で呼び合うイベントがアニメのオリジナルで描写されまして。

そういえばここを読んだ時に(あぁ、アニメでお互いの名前を呼び合うシーンは原作でも実際に起こった事だったんだ…)と思ってたんですが、実は既に8巻で和が「咲さん」と呼んでいるシーンがあったんですね。すっっごく今更ですが先日読み直していて気づきました。*1
とにかくここはかなり本編に比べて百合シーンが多いアニメの中でも屈指の咲と和のイチャイチャシーンだと思います。なんというか、完全に結婚式の指輪交換みたいな雰囲気です。
つまり、本編で描写されていない部分でも咲と和はずっと仲良くなっていた訳で今の二人の関係は非常に親しいものであるからこそ、和が咲に対して以前ほど突っかかってこないのかもしれません。


あるいは、もっと単純に咲の悩みが照についてだという事に和が気付いているからかもしれませんね。悩みが家族間の問題なだけに他人が気軽に立ち入っていいものではないと思ってるのかもしれません。


いずれにしろ今の和が咲に対して1歩引いた状態であるのは間違いないと思うのですが、個人的には以前のように和は咲に対してグイグイいくべきだと思うんですよね。
咲と和のカップリングは和の咲への思いが強調されがちですが大事な所でいつも引っ張る側に回っていたのは和の方ですし、何より上のお互いを名前で呼び合うシーンが本編でもあったという事は

1期のアニメの最終回であった咲と和の別離のシーンも実際に起こる可能性が十分にあるという事です。
今の咲と和が互いの過去と向き合っているシーンが実は二人のすれ違いの始まりなんじゃないか―そんな風に最近の咲-Saki-を読んでいてなんとなく思いました。


いや、まぁぶっちゃけ久しぶりに咲のどが見たいな〜と思っただけなんですけどね。

*1:第69局[抱負] p.138