女性向けジュブナイルポルノのジャンルの傾向について

ティアラ文庫という女性向けジュブナイルポルノのレーベルをご存知でしょうか?かなり歴史のある男性向けジュブナイルポルノに比べて女性向けのは中々定着しなかったんですが、このジャンルを最初に定着させたのがティアラ文庫です。刊行は2009年6月からなので、もう3年になるんですね。(一応説明しとくとジュブナイルポルノってのは性描写がメインのラノベの事です。より詳しくはこちらをどうぞ)
で、実は僕はこのティアラ文庫が結構好きでちょくちょく読んでます(とは言ってもまだ10冊ほどなんですが)美少女文庫なんかと読み比べてみるとなんだか男性と女性の性的欲望を感じるポイントの違いなんかが、文章やストーリーから感じられて中々興味深いんですが、最近ティアラ文庫を読んでてちょっと不思議に思う事がありまして。このレーベル、ジャンルがファンタジーの割合が凄く高いんですよ。ってか、ほぼ10割。
レクラン
公式HPのラインナップからジャンルを見てもらえればわかるんですけど、ファンタジーと現代だと刊行点数が5倍以上違う。しかも、現代というジャンルの中にある作品もほとんどがファンタジーの要素が入っていて純粋に現代ものといえるのって

白衣と意外性の研究 (ティアラ文庫)

白衣と意外性の研究 (ティアラ文庫)

これとか
たった二人で世界を裏切る 犬のような彼 (ティアラ文庫)

たった二人で世界を裏切る 犬のような彼 (ティアラ文庫)

これとか(これ凄く読みたいんだけど絶版でプレミアついてるorz・・・)
せいぜい3,4冊ぐらいじゃないかと思います。

ちなみにこの女性向けジュブナイルポルノというジャンル、今ちょっとした戦国時代を迎えてまして最近になってシフォン文庫ジュリエット文庫という似たようなレーベルが続けて参戦しました。そしてこちらも今まで刊行した作品は全てファンタジー。ただこの二つのレーベル、作者はかぶってるわ、表紙のイラストの雰囲気もほとんど変わらないわでほとんどティアラと差別化を図れてないので、これらのレーベルが今後生き残れるかはちょっと怪しい気がしますが。まぁBLに比べるとまだまだこのジャンルは規模が小さいと思うので、なんにせよ頑張ってほしい所です。

話がずれました。要は、なんで女性向けジュブナイルポルノはファンタジーが多いのか、って話ですね。で、気になってちょっと調べて見たところ、分かった点がいくつか。

まず1つ目。これはさっきのラインナップを見ればすぐにわかる事なのですが、ジャンルが現代の作品は刊行初期に集中していて最近はほとんどないみたいですね。恐らくさっき挙げた作品は売り上げがよくなかったんでしょうね。

2つ目。ウィキペディアを見てみると、ティアラ文庫は最初の女性向けジュブナイルポルノではなく、ラブノベルズや光彩文庫ピンキーティーンズ・ノベルズといった先駆者が存在したらしいです。どちらも短期間でレーベルは消滅してしまったらしいのですが。そしてこの2つのレーベルはその作品のほとんどが現代日本を舞台にしたものであったみたいです。多分これが売れなかった原因ですね。

3つ目。じゃあ、一般の少女向けティーンズノベルの最近の傾向はどうなのかな、と思って検索してたら正にドンピシャのエントリーを発見。こちらをご覧ください

ぶく速 男性向けラノベは学園ものが多いけど、女性向けは現代学園物をいっさい切り捨てている

少女向けライトノベルは現代物を切り捨てている? - Togetter

どうやらここ最近の少女小説全体にあてはまる傾向らしいですね。まぁ、先程言ったようにティアラ文庫の場合、学園ものとか以前に現代が舞台になる事がまずまれなんですが。
ただ、少女マンガでは学園ものでラブコメってのは超定番なのに、小説になるとそれが全くと言っていいほどなくなるというのはかなり不思議なんですが・・・どうしてなんでしょうね〜
後、2つ目のエントリーの最後の方で触れられているのですがBLに限っては現代ものってちゃんとしたメインのジャンルとして存在してる、ってのも面白いです。
考えられるのはBLの場合は、自らが感情移入するキャラがいないから現代でも問題ない、という心理が働いてるとか。あるいはBLは存在自体がファンタジーだからどこが舞台でもあまり気にならない、とか。う〜ん、BLは1、2冊ぐらいしか読んだ事がないのでどうしても印象論になってしまいますね。ちなみにティアラの作家さんは本職がBL作家さんの場合が多いんですが、この辺りどの程度意識してるんでしょう?

ん〜、ここまで風呂敷を広げちゃうと本来の疑問から大分論点がずれちゃってますね。他にも西洋や中国はともかく、なんであんなにアラビアが舞台になる事が多いのかとか、BLでのオフィスラブの多さとか、男から見ると興味ある疑問は尽きないのですが。
長々と書いといてあれなんですが、正直言って少女小説のファンタジーの多さの理由はわかりませんでした。ただ、ジュブナイルポルノは制約が多いジャンルなので、ラノベより更に設定が類型化します。それが結果としてティアラにおいても、ファンタジーがほぼ全てになった原因なのかもしれないですね。